進めず戻れず

時代はどんどん進んで行き、

いろんなものがシンプルになり、迅速化されているけど、アナログで繊細な感覚を求めている。


好きな人と一緒に住んで、いつも下車するよりいくつか前のバス停で降りて、側のお寺に寄って、よくわからない謂れのある石碑の漢文とその解説を読んで、ここが面白いねって笑いあって、その後に栗でも拾って帰りたい。

そんな人生が適うのか?



私は昔、当時好きな人と同棲していたころ、休日に早起きして、犬の散歩を兼ねて少し遠いパン屋さんに出向き、パンを買い込んで食べることがあり、それはすごく幸せなひと時だった。

また、ある日は夜道で、電灯に照らされてできた自分たちの影を見て、変な踊りを即興で踊って遊ぶこともあった。

彼の仕事が忙しい日は、1人で犬の散歩に行ったけど、帰り道がわからなくなってずいぶん遅くなって、雨まで降って来て、やっと帰って来たときには心配されて、犬も私も、バスタオルで頭をくしゃくしゃ拭かれた。

夏のある日は、窓開けて涼みながら、寝っ転がって後ろから抱かれながら蟲師のアニメを観たこともあった。



そんな日は幸せだった気がする。

過ぎ去ってしまった日々が懐かしい。

また、幸せになりたい。



でも、現実は厳しいなあ。

囚われていて逃げ出すこともできない。



好きになるには時間が必要。

会ってすぐの人に、いい印象を抱くこともあるけど、それ以上になるには時間がかかる。